過去50年間にわたる金の価格動向は、経済危機や地政学的リスクなどさまざまな要因に影響され、大きく変動してきました。
1970年代:金本位制の終焉と価格の急騰
1971年、アメリカはニクソン・ショックにより金本位制を終了し、ドルと金の直接的な結びつきがなくなりました。この出来事により、金価格は市場の需要と供給によって自由に変動するようになります。この転換は、金の価格が劇的に上昇する要因となりました。さらに、1970年代後半には、世界的なインフレの加速、石油危機、そして1979年のイラン革命やイラン人質事件といった地政学的な混乱が重なり、投資家が安全資産として金を選好したため、金価格は急騰しました。結果として、1980年には金価格が史上最高値である1オンスあたり850ドルに達しました。
1980年代~1990年代:安定期
1980年の急騰後、金価格は次第に安定し、1980年代から1990年代にかけて1オンスあたり300~400ドルの範囲で推移しました。この時期は、インフレ率が低下し、主要先進国経済の成長が安定したため、金に対する投資需要が減少した時代でした。地政学的なリスクや短期的な経済不安が発生した際には一時的に金価格が上昇することもありましたが、全体的には比較的落ち着いた価格推移が見られました。
2000年代:地政学的リスクと世界金融危機の影響
2000年代に入ると、地政学的リスクや世界的な不安定要素が金価格に大きな影響を与え始めます。2001年の9/11テロ攻撃後、投資家は再び金を「安全資産」として選び、金価格は上昇に転じました。さらに、2008年のリーマン・ショックを発端とする世界的な金融危機により、金は信用不安時の避難先としての役割を果たし、価格はさらに急騰しました。この結果、2011年には1オンスあたり1,900ドルを超える史上最高値が記録されました。
2010年代:価格調整と再度の上昇
2011年のピーク後、世界経済が徐々に回復するにつれて、金価格は2015年までに約1,000ドルまで下落し、調整局面に入りました。しかし、この下落は一時的なものであり、2019年から再び上昇が始まりました。特に、2020年に新型コロナウイルスのパンデミックが世界経済を混乱させると、金は再び投資家の注目を集め、その価格は1オンスあたり2,000ドルを突破しました。
2020年代前半:歴史的高値を維持
2024年において、金価格は1オンスあたり2,700ドル以上という歴史的な高値を維持しています。この価格の背景には、世界的な地政学的リスクの増大(特にウクライナ紛争や中東の緊張)や、パンデミック後のインフレ懸念があります。さらに、主要国の中央銀行による量的緩和や低金利政策が続いていることも、金の需要を押し上げる要因となっています。金は現在も、多くの投資家にとって不安定な経済環境における「価値の保存手段」として選ばれています。
金価格に影響を与える主要要因
- インフレ: 歴史的に、金はインフレヘッジとして機能します。インフレが進行すると通貨の価値が下がるため、金のような実物資産への需要が高まります。
- 地政学的リスク: 戦争やテロ、国際的な緊張が高まると、投資家はリスク回避のために金を買う傾向があり、価格が上昇します。
- 中央銀行の金融政策: 金利が低い場合、債券などの利回りが下がるため、無利息の金が相対的に魅力的になります。量的緩和政策による貨幣供給の増加も、金価格を押し上げる要因です。
世界的な不安定要因が続く限り、金は引き続き安全資産として注目されることが予測されます。特に、地政学的リスクやインフレ懸念がある限り、金への需要は高い水準で推移するでしょう。
